家族性地中海熱・TRAPS・PFAPAを中心とした患者と家族の会


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家族性地中海熱 〜About Familial Mediterranean fever〜 

家族性地中海熱について

 概要

家族性地中海熱(以下略称:FMF)は、地中海沿岸地方を起源とする民族に多く見られる常染色体劣性遺伝病であり遺伝性周期性発熱症の中で最も頻度の高い疾患です。世界で10万人以上の患者が存在するものと考えられており、世界ではこれまでに4000例以上が報告されています。日本では約500人の患者がいるとされています

FMFの責任遺伝子であるMEFV遺伝子は1997年に発見されました。原因遺伝子として単離されて以降、数十種類の変異が報告されています。日本では稀とされていた疾患ですが 1976年に第1例が報告されました。
2001年以降に遺伝子異常が判明した症例が報告されるようになり2011年研究班が診断ガイドラインを発表したことにより近年報告が相次いでいます。
MEFV 遺伝子は第16染色体上に存在し,10個のエクソンで構成されています。現在までに全世界で約50種類以上の変異が報告されており、このうちexon10(M694V、V726A、M694I、M680I)とエクソン2(E148Q)の5 つの中のどれかに74%以上の異変が見つかっています。FMF 患者における炎症惹起の機序の詳細はいまだ明らかではありませんが、MEFV 遺伝子変異によりpyrinの発現低下あるいは機能障害を生じて炎症を調節できないことに関連していると考えられています。日本では2002年に最初のMEFV遺伝子の変異が報告されました。日本で発見された変異では全症例にM694IかE148Qを含んでいるとされています。しかし近年、典型例以外にも不完全型と言われる症例が多く発見され、全ての患者に変異が出ているとは限らないことがわかりつつあります。診断には臨床診断と遺伝子診断がありますが、FMFの臨床診断とMEFV遺伝子の変異の有無が必ずしも一致しない症例もある為、遺伝子検査はあくまでも一つの診断方法であり診断の補助として使われています。

 炎症発作を誘発するもの
 炎症発作を起こすきっかけになるとされているものには以下のものがあります
1:精神的ストレス
2:身体的疲労
3:月経

4:高脂肪食


 典型例と非典型例があります
 近年、症例が増えるにつれ遺伝子解析の技術の向上と共に非典型例(不完全型)の存在が明らかになってきました。典型例では、38℃以上の発熱発作、漿膜炎発作が半日〜3日以内なのに対して、非定例では発熱期間が典型例と異なって数時間以内〜4日以上持続する事があり38℃以上の発熱がみられない(微熱)こともあります。
漿膜炎発作が典型的でなく(患部の限局、激しい腹痛はなく腹膜刺激症状を伴わない)関節痛、筋肉痛などの非特異的症状がみられることもあります。また関節炎は下肢に加え、上肢にも認める場合もあります。これら病像を呈する症例は非定型型FMFである可能性があり、MEFV遺伝子解析が診断の補助となります。非定型型FMFではMEFV遺伝子 exon10の変異は少なくexon1 (E84K) [3, 4]、exon2 (E148Q、L110P-E148Q、R202Q, G304R)、exon3 (P369S-R408Q) [5, 6]、exon5 (S503C)の変異を伴っていることが多くみられます。非典型例の場合もコルヒチン投与により症例の改善を認めるますが、典型例よりも効きにくいとされコルヒチン抵抗性を示す場合があります。しかしいずれにしろFMFに対する第1選択薬はコルヒチンであり、診断的治療も兼ねてコルヒチンの服用が必要となります。

 診断
 研究が進む中で各自己炎症疾患の原因遺伝子も少しずつ解明されてきていますが、中でも家族性地中海熱に関しては疾患特有の原因遺伝子がまだ解明されていません。原因遺伝子と言われるMEFV遺伝子は炎症性疾患の大元にあたる遺伝子の為、検査をしてみると自己免疫疾患(ベーチェット、SLE、炎症性大腸炎など)の患者さんでも変異が出たり、PFAPA患者さんや症状の一切ない健常者の方でも変異を持っている場合があります。
FMFの診断には臨床診断だけでなく遺伝子検査が必須ですが、MEFV遺伝子はFMF特有の変異とは言い難いために遺伝子検査をしても確定診断できない事があります。専門医でも診断が難しい為、安易な診断を避けるためにも遺伝子検査、臨床症状、コルヒチンの効果、発熱の型など多岐にわたる観察を含めて慎重に診断を行う必要があります。
2015年7月より難病新制度にて指定難病となりましたが、認定基準では「典型例(=exon10に変異がある場合)のみを家族性地中海熱とする」です。
非典型例(=exon10以外に変異がある場合)は家族性地中海熱としてはグレーゾーンなので助成対象とは認められません。非典型例の分類に関してはまだまだ研究途中の為、今後の研究次第となっています。
診断フローチャートが研究班HPで公開されていますので詳しくはそちらをご参照ください!
FMF診療フローチャート

 臨床症状
 典型例と非典型例では症状の出方、発熱日数などが違ってきます。また主症状と副症状があり、典型例と非典型例の識別を行う際に参考になります。

1:発熱 
 一般的に発熱期間は12〜72時間とされ、38℃を超える急激な発熱があります。抗生剤、解熱剤では解熱しません。また多くの場合ではステロイドが効かないのもFMFの発熱の特徴となります。

2:腹膜炎
 一般的に片側に起こりますが、FMFでは左腹部から痛みが始まるケースが多いようです。激しい痛みを伴う事もありますが、鈍痛など痛みの程度は患者ごとに異なります。ロキソニンなどの痛止めが有効とされています。
3:胸膜炎
 一般的に左上胸部から背中に抜ける刺すような激しい痛みを伴いますが、FMFの場合は発作の程度により痛み、経過も様々です。胸痛だけでなく息苦しさ、咳痰といった症状も現れます。咳は辛いものですが、咳をする事によって胸膜を動かし癒着を防ぐという効果もあるため、あまり強い咳止めを使用してしまうと肺をふくらます事が出来なくなるので要注意です。炎症発作が終われば 1週間〜1カ月程度で痛みは自然に消えます。
4:心膜炎

 FMFにおける心膜炎は海外でも頻度が高くなく、まれな症状です。ただし難治性の再発性心膜炎として循環器疾患として診療を受けているケースも多々あるため、正確な頻度はわからず再発性心膜炎の患者の診断にはFMFの可能性も含めるべきであるという意見もあります。FMFの心膜炎は症状後期になるにつれ発生しやすいという傾向があります。そのため必然的に小児では少なく発症から経過の長い成人患者に多い症状となります。ただしいきなり心膜炎症状を発症するFMF患者もいるため、そのすべてが後期とは限らないので十分な注意が必要です。
海外ではFMFにおける心膜炎発作期間は1〜14日間という統計結果があります。また心膜炎期間中に合併する症状は、頻度の高い順から「発熱」「胸膜炎」「腹膜炎」「筋痛」となっており関節痛は少ないようです。なおFMFでの心膜炎は稀ですが、心タンポナーデはさらに稀で心タンポナーゼに移行する前にたいていの場合は自然寛解します。しかし心膜炎で負った細胞のダメージは回復しません。発作による心膜炎を重ねることで心臓自体にダメージが蓄積し基礎疾患であるFMFの発作とは関係なく臓器障害という形で症状が進行することになります。
5:関節炎(足首・膝・股関節など)
 FMFで一番多いとされる関節炎は足関節(足首)です。次いで膝、股関節と続きますが大半は下肢、膝関節に症状が現れやすい傾向にあります。主な症状は腫れ、痛み、熱感ですが稀に関節内に水が溜まったり、滑膜炎、靭帯の損傷などが起きる事があります。FMFは全身の漿膜に炎症が起きる可能性があります。
6:腱滑膜炎
 
FMFの腱滑膜炎の好発部位はアキレス腱、膝、手首といわれ、損傷を受けやすくなっています。また肘、手指、肩の関節をはじめ全ての関節で起こる可能性があります。
症状として「動きを困難にする関節のこわばり」「関節の腫れ」「関節の疼痛と圧痛」「腱の上にある皮膚の発赤」がありますが、炎症発作に連動しているので発作間欠時は症状は出ません。

7:皮疹(丹毒性紅斑)
 関節炎を起こした関節近くに縁取りのはっきりした紅斑が出来る事があります。この症状は日本人には少ないとされています。この症状自体は関節炎が回復すれば消えるので治療の必要はありません。
8:眼症状
 1)ぶどう膜炎
 ぶどう膜炎は典型例でも発症する可能性があり、基本的には片目に起こります。FMFの場合は前部ぶどう膜炎が多いのが特徴です。一般的なぶどう膜炎の治療はステロイド点眼薬を使っての治療となりますが、FMFの場合は眼症状に対しても基本的にステロイドはあまり有効ではありません。最も有効な治療薬は生物学的製剤IL-1と言われていますが国内ではFMFには適応されておらず2015年6月現在使用できない状態です。しかしFMFの症状としてのぶどう膜炎の診察経験のある眼科医はごく少数の為、現場での治療はベーチェットに準じた治療が行われる事が多くステロイドを使うケースが多いようです。FMF当事者の中には稀にですがステロイドでアナフィラキシーのような激しいショック様症状を起こす事があります。もしステロイド治療を行う場合は「基本的にはFMFにはステロイドが無効な事」「自分がステロイドを使っても大丈夫な体質か」の確認を眼科担当医にしてください。治療はミドリンなどの散瞳薬を使って炎症物質による光彩癒着を防ぐ治療が行われます。なおFMFのぶどう膜炎症状は発作時しか顕著に表れない傾向があります。早い場合数時間単位で炎症の傾向が消えてしまう事もあるので受診時には炎症が認められない事も多々あり、ぶどう膜炎の発見が遅れる事があるため長期にわたる定期的な観察が必要となります。
 2)結膜炎

 発作時に発熱(炎症)と連動して、アレルギー性結膜炎症状(眩しい、充血など)が現れる事があります。
 3)白内障
 炎症が抑制できず、長期間にわたり細胞が炎症に曝されると水晶体が変性を起こし白内障を発症します。一般的に白内障は加齢が原因となりますが、FMF患者の場合は年齢に関係なく白内障を発症する可能性があります。

発作は数週から数ヶ月毎に数日間日間持続し、2~4週毎の周期が多いようです。発作間欠期には無症状となるとされていますが、不完全型の症例では長引く筋痛・関節痛などがみられます。
検査所見は一般的な炎症反応がみられますが、FMFを診断するための特別な項目はありません。発作時はCRP・血沈が高値となりますが、感染症の有無を表すプロカルシトニンは低値または全く反応しません。この特徴から診断の際は自己免疫疾患・感染症などの識別診断を行うためにも必ず確認が必要です。またFMFは反応性AAアミロイドーシスを合併することが知られおり、発作の抑制やAAアミロイドーシスへの進展の予防にもコルヒチンが有効とされています。診断がついた患者は治療だけでなく予防のためにも生涯に渡りコルヒチンを服用していくことになります。

 治療薬(2017年2月8m日記載修正)
1:コルヒチン
2:ステロイド
 
約4割のFMF当事者が何らかの理由でコルヒチンが使えない場合、プレドニンなどのステロイド剤を使用していること、また効果があることからから2016年度の班会議にてステロイドもFMFの標準治療薬として考慮されることになりました。
3:IL-1製剤 「イラリス」
コルヒチン耐性FMFに対してコルヒチンの代替薬として期待されています
日本では2016年12月にコルヒチン耐性FMFに対しての適応が承認され、保険適応が開始されています。
4:IL-6製剤、TNF-α製剤 
IL-1の代替薬として日本ではアクテムラ、レミケード、ヒュミラなどを使用しています。


 
第一選択肢コルヒチンの話
 日本だけでなく全世界において、FMFの第一選択肢はコルヒチンというアルカロイド系の薬剤です。以前は痛風やリウマチでよく使用されていましたが、副作用が強く現在はあまり使用されていません。コルヒチンの成人服用量は一般的に1〜2r/日が多いようですが、不完全型はコントロールがしにくい事から成人最大量の2.5r/日で服用する場合もあります。また小児の場合は体重に応じて量を調整します(0.02〜0.03r/kg/日)
不完全型は典型例に比べ、多くのコルヒチンを使用しないと効果が得にくいと言われていますが、副作用との兼ね合いもあるので量の調整と自分にあった飲み方の工夫をしていく事が重要です。
FMFの特効薬であるコルヒチンですが、服用の仕方に特徴があります。痛風などのように発作の前兆を感じた時に服用するのではFMFでは十分な効果が得られません。常用する事で血中濃度を一定に保ってはじめて炎症発作の抑制につながります。また症状の抑制だけでなく、アミロイドーシスの予防の為にも服用は必要で診断がついた場合は一生涯服用する事になります。
コルヒチン自体の一日の最大投与可能量は4r/日ですが、FMFにおける日本人成人の最大投与量は2.5r/日となっています。典型例では0.5〜1r/日で効果が十分な効果が得られる症例が多いですが、不完全型では2r/日以上の服用でようやく効果が発揮される事も多いようです。
 コルヒチンだけで十分な効果が得られないケースではコルヒチンとNSAIDsの組み合わせにて対応していく事になります。この組み合わせに関しては個人差があり、「コルヒチン+ロキソニン」「コルヒチン+ステロイド」「コルヒチン+リリカ」など自分に合った組み合わせと飲み方・量を主治医と相談しながら見つけ出すしかありません。
また日本では少ないようですが海外の文献では炎症発作時は最大量を服用し、炎症発作が落ち着いた後に減薬していくといった方法もあり、常用0.5〜1mg/日、炎症発作時には追加で0.5mg服用するといった処方がされるケースもあるようです。日本においてはまだ症例が少なく、実際診断治療にあたっている現場の医師も少ない事から各主治医によりコルヒチン投与に関する認識の違いや使い方の指導にはまだまだばらつきがあります。
服用方法に関しても主治医により指示が違う事もあり、FMF患者同士でも違った服用法、認識の差があります。
今後診療の現場でFMFへの認識が広まるとともに、コルヒチン投与への統一した指針が広まる事を期待されます。
また各文献などでは「コルヒチン服用により顕著な効果がある」とされていますが、症状・作用の出方など個人差が大きい為「どの程度の投与量でどの程度の期間」など具体的に明言されておらず他の症例が参考にならない事もあり折角の特効薬でありながらも当事者の不安は尽きません。
今後効果の判定・試用期間などについても典型例・非典型例共に明確な参考例が示される事が期待されます 


 
コルヒチンの副作用
 有名な症状では消化器症状(下痢・嘔吐)、脱毛、白血球減少、肝機能障害、咽頭痛、蛋白尿などがあげられます。長期に渡り服用を続けていくうえでコルヒチンの副作用を確認するためにも定期的な検査、3か月ごとの効果の査定が必要になります。。またこれらの副作用は服用中止や服用量を調整することで改善されます。
しかしコルヒチンに限らず、長期間服用を続けていた薬を急に完全にやめてしまう事でリバウンドの危険性があります。安全の為にも主治医と相談の上、少ずつ減薬をしていく事が望ましいと思われます。

※コルヒチンを服用時に禁忌とされている事※
1)グレープフルーツは血中濃度を高め中毒症状を起こす危険があります。
日常生活で少量摂取するだけでは危険はないと言われていますが、個人の体質によりコップ1杯分の果汁100%ジュースを摂取して体調を崩してしまった当事者もいます。
絶対に禁止というわけではありませんがこういった可能性も考慮の上、くれぐれも摂取量には気を付けて下さい!
食べ合わせや薬剤との飲み合わせ次第では危険も生じるので必ず医師・薬剤師に相談してください!

2)妊娠とコルヒチンの関係
男女ともに服用中の妊娠は催奇性があると言われています。妊娠を希望する方は一時断薬が必要となる時期がありますので、必ず主治医と相談してください。
ただし決して妊娠・出産はできないという事ではありません!FMF当事者で妊娠出産された方は多数いらっしゃいます。ただし年齢問わずハイリスク出産となりますので、正しい知識を持って主治医他医療者との協力の元で計画を立ててください!!


 
コルヒチンの飲み方
 コルヒチンの服用を始めて多くの人がまず悩むのは副作用の存在です。
「下痢が酷く仕事にならない」「コルヒチンを飲むと怠い」という声をよくお聞きします。副作用は個人差があり、0.25r/日でも重大な副作用が出来る人もいれば2.5r/日でも全く副作用なく過ごしている人もいます。せっかく診断がつきコルヒチン服用の治療が始まっても副作用が酷く生活が出来なくないのは辛いものです。副作用が酷く悩んでいる方は飲み方の工夫をしてみてください。
 副作用が酷いという方、1日分をまとめて飲んでいませんか?もし悩んでいる方は例えば2r/日を使っている方は朝1錠、昼1錠、夜1錠、就寝前1錠といった具合に試しに極力分配して服用してみてください。コルヒチンは服用して血中濃度が上がり効果が出るまで2〜3時間かかり、少なくとも5〜6時間は持続します。一気に血中濃度をあげると副作用が出やすくなるので、分配して服用する事で急激な血中濃度上昇を避け副作用を防いだり軽くすることが可能です。
飲み方に関しては主治医の指示もあると思いますので相談してみてください。
また是非薬剤師に相談してみてください 。分配方法を変えただけで副作用が軽減した方も多くいます。せっかくの治療です、一人で悩まず是非を相談してください。

 コルヒチン服用後の事
 コルヒチンの服用を始めると血液に副作用がでていないかの確認の為に定期的な検査が必要となります。
その際に多くの当事者が経験している事として「炎症反応が出なくなる」という現象があります。実際に症状や発熱が起こっているのに検査してみるとCRPは正常値だったりわずかな上昇だけだったりするのでこの検査結果を見て「炎症反応がないのに、なぜ症状が出るのか?」と不思議に思う先生も多いようです。しかし数値に出にくくなっただけで、実際体の中ではちゃんと炎症発作は起こっています。もしCRPの反応が出にくくなったときは血沈を確認してください。血沈ではちゃんと高値の反応が出ている可能性があります。
 また内科的には炎症反応が確認できなくても眼科では確認できる場合が事あります。FMFの症状の一つに「眼症状」があります。「家族性地中海熱」は以前「全身性漿膜性炎症症候群」という名称で呼ばれていました。その名の通り、全身の漿膜(腹膜・胸膜・結膜・関節滑膜など)に炎症を起こす可能性があります。中でもぶどう膜炎は眼の症状として自覚症状だけでなく、外部からも確認しやすい部位であり眼科の検査で直接炎症の有無を確認できる部位でもあります。もし「まぶしい」「急に視力が低下した」「眼が痛い」「視界に光が見える」「視界が白くぼやける」などの症状があった時は、必ず眼科を受診して炎症の有無を確認してもらってください。

 脱毛・髪の悩み
 コルヒチンの服用量を増やしたら、脱毛・白髪が酷くなったという話もよくお聞きします。また髪質が変わってしまい剛くなったという悩みもお聞きします。コルヒチンは「細胞分裂を阻害する」性質があります。コルヒチンは微小管の機能を阻害し白血球の遊走能力を阻害する事で炎症発作を予防します。しかし微小管は細胞分裂に欠かせない細胞であり、細胞分裂も阻害してしまう事で脱毛が起きます。薬の副作用による脱毛や副作用は、正常に活動していた細胞の働きを薬理的に妨害しているだけなので薬の服用を止めれば次第に回復していきます。しかしFMF当事者にとってコルヒチン服用は炎症発作の予防だけでなく、アミロイドーシスという最悪の結果を防ぐためにも重要なものであり生涯服用が必要な薬です。
コルヒチンの服用を続けながら実際当事者の方が行っている工夫として
「シャンプーをノンシリコン系に変え、地肌と毛根のケアをしている」
「剛くなってしまった髪には、オイル系の洗い流さない美容液が効いた」
「自然乾燥は絶対ダメ、ドライヤーで適度の温風で乾かす」といった事があげられます。
普段は気にしない髪の事、問題が起きてから「こんなに大切だったのか」と気づく事もあると思います。
そんな時、もしかかりつけの美容室、美容師さんがいたら是非相談してみてください。
薬の副作用で髪の悩みを抱えて誰にも言えず悩む方は案外多いそうで「一人で悩まず、そんな時こそ髪のプロに相談して欲しい」という声もいただいています。脱毛期でも髪の生え変わりは行われていて、それに合わせてケアする事で脱毛や髪質悪化を防いだりアドバイスすることもできるそうです。
また脱毛は皮膚科でも相談にのってくれます。皮膚科受診を希望される際は症状の一つか?コルヒチンの副作用かという問題もあるので一度主治医の相談して紹介してもらってください。一人で悩まず是非相談してくださいね!

 その下痢は本当にコルヒチンの副作用?
 「コルヒチンの副作用で下痢してしまう」「下痢が酷くて仕事が出来ない」そんな悩みを抱える当事者も多く切っても切れない「家族性地中海熱VSコルヒチン」問題ですが、ここ最近コルヒチンの副作用が原因ではない下痢・消化器症状で悩む当事者が増えてきています。そんな当事者の声を聞いてみると「脂質が高い食品でおなかを壊す」「急に乳製品・刺激物がダメになった」など共通する部分が多い事に気づきます。そしてそれはどうやら過敏性大腸炎の症状に似ているようです。
現在公式に発表されているFMFの症状には「大腸炎」という表記はありません。ところがFMF当事者にはおなじみの腹痛(腹膜炎症状)が大元となり小腸・大腸の神経血管を支配する部位に炎症が及ぶと機能障害を起こし下痢・便秘になる可能性もあります。家族性地中海熱当事者の方で下痢に悩んでいる方、食事により下痢症状が起きるようになった方はコルヒチンの副作用ではなく新たな症状の一つかもしれません。現在のところこうした症状の症例に対する原因解明はされておらず原因は不明のままですが、是非主治医に報告して経過を診てもらってください。
この消化器症状ですが長期間続いている方もいますし、炎症発作と同じく急に始まり急に終わる自然寛解するという当事者もいます。「繊維質の食事を避ける」「消化の良い食事を心がける」他にも炎症を誘発する可能性のある「脂質の低い食事などを心がける」など食事の工夫で対応できる場合もありますので各自の生活スタイルに合った工夫が必要となります。
※食品の一例として「納豆を食べて下痢が改善した」「乳酸菌飲料を1日1本飲むようになって改善した」という体験談もいただきましたのでご紹介しておきます。

 コルヒチン服用中の妊娠について
 妊娠中のコルヒチン服用に関して、海外の文献ではダウン症をはじめ発生率には大きな差はないと報告されています。しかしダウン症等の染色体疾患はコルヒチン服用の有無に関係なくある程度の発生率で起こる可能性があります。妊娠中に発作を起こすと腹膜炎など炎症の影響で流産する事もある為、欧米では妊娠中もコルヒチンの服用を推奨していますが、日本では妊婦へのコルヒチン投与は禁忌となっています。なおFMF当事者の女性の妊娠出産は年齢状態問わずハイリスク扱いになります。主治医とよく相談し、実際の発作状況や母体と胎児への影響を考慮した上でどうするか考えることが大切です。

 出産後のコルヒチン服用による母乳と胎児への影響
 コルヒチン服用中の母乳ですが、確かにコルヒチンはでるようです。
ただし乳児が母乳を飲む事で摂取するコルヒチンの量は、体重あたりで母親の1/10となります。これは実際さほど多い量ではありませんが、これを多いと考えるか、問題ないとするかは難しいところです。現在は乳児にその母乳を投与する事による影響が全くないとは言い切れません。人工乳ではこうしたリスクの可能性を排除できるので、人工乳を使うという選択肢も考慮してください。ちなみにこれまでFMF当事者の母親の母乳を飲んでいて問題になったという報告はありませんので、主治医とよく相談しお母さんの安心できる方法を選択してください。

 FMFと不妊・妊娠の関係?!
 FMFは10代で発症する事が多い為、女性当事者にとっては結婚、妊娠に不安を感じている方もいるかもしれません。中でもFMFは不妊症になりやすいといわれており、実際悩んでいる当事者もいらっしゃいます。
では何故FMFで不妊症になりやすいのでしょうか?残念ながら詳しくはわかっていないのですが「繰り返す腹膜炎症状による腹膜の癒着」「卵巣へのアミロイドの沈着」が原因ではないかと考えられています。
「腹膜炎症状の抑制」「アミロイドの沈着を防ぐ」その為には現時点ではコルヒチンの服用しかありません。
先述したようにコルヒチンには催奇性があります。しかしだからといってコルヒチンを服用せず炎症を繰り返していると腹膜炎による癒着で妊娠しにくい状態になってしまいます。そこで妊娠を希望される場合は全てにおいての計画と主治医をはじめとする医療チームの協力が必要となります。妊娠に際してはまず通常よりコルヒチンを服用する事で炎症を抑制し腹膜の癒着を防いでおく事が重要となります。妊娠を希望するまでは炎症を抑制し妊娠に適した状態を作っておく必要があります。そこから計画的にコルヒチンを減薬していき3か月〜半年かけて体内からコルヒチンを抜いていきます。その状態なら妊娠してもコルヒチンによる催奇性の心配はありません。妊娠後は、妊娠初期〜中期にかけては胎児にとって重要な時期です。コルヒチンは胎児には影響はないといわれていますが、多くの当事者は「もしかしたら影響が出るかも…」との心配から発作が起きてもコルヒチンを服用せずロキソニンなどで対応しているようです。
 FMF患者の妊娠出産は年齢にかかわらずハイリスク扱いとなります。コルヒチンの服用により不妊の合併を減少する事が判明していますし、妊娠希望の方は早めに主治医と相談し服用量の調整・減薬・出産方法を含め計画的に準備をしてください。

 我慢できない関節痛には・・・
FMFは足首、膝などの下肢関節を中心に様々な関節痛が症状として出てくる事があります。
多くの場合ではコルヒチンと共に痛み止めが処方され、各自に会った組み合わせの薬対応していると思います。
しかし内服薬は効果が出るまでに時間がかかりますし、長期にわたり使用するために胃に負担がかかる事もあります。そんな時は痛み止めテープ(ロキソニンテープ、ボルタレンテープ等)や湿布などの外用薬も併せて使ってみてください。湿布と侮るなかれ!意外にも、効果感じる当事者が多くいるのも事実です。日常動作が楽になったという方もいますので、是非試しに使って見る価値はありです。

 コルヒチン服用中の効果査定と代替え薬
コルヒチンはしばしその強さからさまざまな副作用が問題になる薬です。
コルヒチン服用開始後は3カ月間隔を目安に治療効果を判定すべきで、発熱発作が3カ月に1回以上、あるいは発作の有無にかかわらず炎症反応が持続する場合はコルヒチン投与量を増量すべき推奨されています。
なお日本人成人最大量は2.5mg/日、海外での成人最大量は3mg/日までとされています。最大量を使用しても症状改善が見られない場合や副作用が強く使用できない場合は、代替治療が必要となります。また十分量を投与しても年間6回以上の発熱発作がある場合は「コルヒチン耐性FMF」と考え他の治療法を考慮すべきです。
代替え治療を考える時はIL−1製剤が第一選択肢と考えられており、まずは半減期の短いアナキンラから開始すべきとされています。しかしIL-1阻害薬は日本では未承認であり入手が困難な事から、IL-1のさらに代替え治療としてIL−6阻害薬、TNF阻害薬が使用さ有効であるとの報告があります。
とくに関節症状が強いコルヒチン耐性FMFに対してはTNF阻害薬が有効であるという報告があり、期待されています。IL−6阻害薬トシリマズブ(製品名:アクテムラ)が有効との報告もあり、今後の治療の選択肢が増えることが期待されます。

※2013年9月6日追記
コルヒチンの副作用により亜鉛の吸収障害が起こり「脱毛」「味覚障害」を起こす可能性があります。
もし上記の症状でお悩みの方は可能性がある事を主治医に報告の上、血液検査にて確認をしてもらってください!
亜鉛不足の場合は亜鉛投与で改善されるとの報告もあります。
※2014年2月18日追記済み
栄養学からみたコルヒチンの吸収阻害作用による症状の報告があります。
「薬の話」コルヒチンの項目にて確認してください!

FMF専用サイト「家族性地中海熱患者の交流サイト・FMF‐COMMUNITY」が
  継続稼働中です。

2011年12月に家族性地中海熱研究班により「診療ガイドライン(暫定)」が
   発表されました。







自己炎症疾患友の会連絡先
自己炎症疾患家族会

autoinflammatory@hotmail.co.jp







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