PAPA症候群の責任遺伝子は15番染色体長腕に存在するPSTPIP 1、CD2BP 1遺伝子であり、常染色体優性遺伝形式をとります。またA230T、E250Q変異などが報告されています。ただこの遺伝子変異によってどのような機序でPAPA症候群が起こるかについてはいまだ解明されてはいません。
症状
【 乳幼児期 】
PAPA症候群は男児に多くみられ、主として3歳以下の乳幼児に発症し周期性発熱は起こしません。乳児期に予防接種などの時に針反応がみられる事が多くあります。関節炎は乳児期でみられ再発しやすく、次第に関節破壊が進行します。その後に嚢胞性?瘡、壊死性膿皮症様病変を含む皮膚の腫瘍が認められるようになります。
【 思春期 】
壊死性膿皮症は10〜11歳ごろから起こり始め、下腿に発生しやすく再発を繰り返して次第に潰瘍性変化が強くなる傾向があります。10代後半になると関節症状は軽減していく傾向にありますが、関節炎は炎症所見が強く関節破壊に繋がる事があります。そのため関節の変形、拘縮、小顎症等を残す事もあります。嚢腫性座瘡は通常思春期に起こり成人後も継続します。
【 成人期 】
思春期に起きた嚢胞性?瘡は成人後にも継続すると同時に、壊死性膿皮症は広範囲に深い皮膚潰瘍を形成します。
壊死性膿皮症は下肢に起こる事が多く、軽微な外傷をきっかけになりやすい為日常生活でも十分注意する必要があります。他の症状として注射部位の膿瘍形成、過敏性大腸炎などの傾向がありサルファ剤の内服による汎血球現象も報告されています。
【 PAPA症候群の古典的3主徴 】
1:広範な瘢痕性能膿胞性?瘡
2:再発性破壊性化膿性関節炎
3:難地性壊疽性膿皮症
【 合併の可能性 】
1:乾癬
2:膿皮性酒?
3:歯肉膿胞
4:肝炎
5:成人発症性インスリン依存性糖尿病
6:膜性糸球体腎炎
7:低ガンマグロブリン血症
8:ぶどう膜炎
9:肝脾腫
10:貧血
11:炎症性大腸炎・クローン病
診断
自己抗体やリウマチ因子は陰性で、臨床検査で診断に有用なものはありません。
診断は臨床症状と遺伝子検査によって行われます。
治療
関節炎と皮膚症状に対しては副腎皮質ステロイドが有効であるとの報告がありますが、減量によって再燃する事、また反応に乏しい症例もありステロイドのみでコントロールする事は難しいです。壊死性膿皮症に対してはメチルプレドニゾロンのパルス療法が有効とされていますがステロイドの長期使用に伴う副作用を避けることが難しい局面もあり、現在はIL-1阻害薬(イラリス)、TNF阻害薬などの使用が試みられています。また皮膚症状には感染が起こりやすく、抗生剤の治療も併用していく事が必要となります。ビタミン剤が有用の報告もあります。
コラム
「僕は幻のポケモン」〜PAPA当事者の思い〜