概要
FMFの責任遺伝子であるMEFV遺伝子は1997年に発見されました。
原因遺伝子として単離されて以降、数十種類の変異が報告されています。
日本では稀とされていた疾患ですが 1976年に第1例が報告されました。
2001年以降に遺伝子異常が判明した症例が報告されるようになり
2011年研究班が診断ガイドラインを発表したことにより近年報告が相次いでいます。
MEFV 遺伝子は第16染色体上に存在し,10個のエクソンで構成されています。
現在までに全世界で約50種類以上の変異が報告されており、このうちエクソン10(M694V、V726A、M694I、M680I)とエクソン2(E148Q)の5 つの中のどれかに74%以上の異変が見つかっています。
FMF 患者における炎症惹起の機序の詳細はいまだ明らかではありませんが、MEFV 遺伝子変異によりpyrinの発現低下あるいは機能障害を生じて炎症を調節できないことに関連していると考えられています。
日本では2002年に最初のMEFV遺伝子の変異が報告されました。
日本で発見された変異では全症例にM694IかE148Qを含んでいるとされています。
しかし近年、典型例以外にも不完全型と言われる症例が多く発見され、全ての患者に変異が出ているとは限らないことがわかりつつあります。
診断には臨床診断と遺伝子診断がありますが、FMFの臨床診断とMEFV遺伝子の変異の有無が必ずしも一致しない症例もある為、遺伝子検査はあくまでも一つの診断方法であり診断の補助として使われています。
典型例と非典型例があります
FMFには典型例と非定型例(不完全型)があります。
近年、症例が増えるにつれ遺伝子解析の技術の向上と共に否定形例の存在が明らかになってきました。
FMF典型例では、38℃以上の発熱発作、漿膜炎発作が半日〜3日以内なのに対して
非定例では発熱期間が典型例と異なって数時間以内〜4日以上持続する事があり38℃以上の発熱がみられない(微熱)こともあります。
漿膜炎発作が典型的でなく(患部の限局、激しい腹痛はなく腹膜刺激症状を伴わない)関節痛、筋肉痛などの非特異的症状がみられることもあります。
また関節炎は下肢に加え、上肢にも認める場合もあります。
これら病像を呈する症例は非定型FMFである可能性があり、MEFV遺伝子解析が診断の補助となります。
非定型FMFではMEFV遺伝子 exon10の変異は少なくexon1 (E84K) [3, 4]、exon2 (E148Q、L110P-E148Q、R202Q,
G304R)、exon3 (P369S-R408Q) [5, 6]、exon5 (S503C)の変異を伴っていることが多くみられます。
非定型例の場合もコルヒチン投与により症例の改善を認めることが多く、診断的治療を重ねてコルヒチン投与が望まれます。
臨床症状
FMF は、反復する発熱発作と腹膜炎,胸膜炎,関節炎などの漿膜炎症状、皮疹などの発作が特徴です。
発作は数週から数ヶ月毎に数日間日間持続し、2~4週毎が多いようです。
また発作間欠期には無症状となるとされています。
検査所見は非特異的な炎症所見のみで、疾患特異的マーカーがありません。
発作時はCRP・血沈が高値となります。
識別診断として自己免疫疾患・感染症などの確認が行われます
反応性AAアミロイドーシスを合併することが知られおり、発作の抑制やAAアミロイドーシスへの進展の予防にもコルヒチンが有効とされています。
診断がついた患者は生涯に渡りコルヒチンを服用していくことになります。
唯一の特効薬・コルヒチン
FMFの特効薬はコルヒチンというアルカロイド系の薬剤です。
以前は痛風やリウマチでよく使用されていましたが、副作用が強く現在はあまり使用されていません。
コルヒチンの服用量は一般的に1〜2r/日が多いようですが、不完全型はコントロールがしにくいことから国内最大量の2r/日を使う人もいます。
また小児の場合は体重に応じて量を調整します。(0.02〜0.03r/kg/日)
不完全型は典型例に比べ、多くのコルヒチンを使用しないと効果が得にくいと言われています。
コルヒチンの有名な副作用として
消化器症状(下痢・嘔吐)、脱毛、白血球減少、肝機能障害、咽頭痛、蛋白尿などがあげられます。
長期に渡り服用を続けていくうえでコルヒチンの副作用を確認するためにも定期的な検査は欠かさず行っていきます。
またこれらの副作用は服用中止や服用量を調整することで改善されます。
※コルヒチンを服用時に禁忌とされている事※
1)グレープフルーツは血中濃度を高め中毒症状を起こす危険があります
2)コルヒチンは催奇性があるといわれています。
服用中の妊娠に関しては、主治医と相談してください。
FMFに関しては「家族性地中海熱患者の交流サイト・FMF‐COMMUNITY」が
継続稼働中です。そちらもぜひご参照ください!
2011年12月に家族性地中海熱研究班により「診療ガイドライン(暫定)」が
発表されました。 詳しくは研究班HPをご覧ください!
概要
TNF受容体関連周期性症候群(以下略:TRAPS)は、発熱、皮疹、関節痛、漿膜炎などを繰り返し、時に重篤なアミロイドーシスを併発する常染色体優性の遺伝性疾患です。
TNF受容体1型の遺伝子変異が原因とされ、日本では2004年に初めて症例報告があって以来、現在までに6例の報告があるにすぎませんが欧米では100例以上の報告があり、潜在患者は少なくないと考えられています。
TNF受容体の分子異常がどのように病態形成に関与しているかは不明であり、症例によっては遺伝子異常が同定されない場合もあります。
臨床症状
TRAPSの主な症状は
ステロイド
HIDSの詳細ページ「About HIDS」も併せてご覧ください!
詳しくは「CAPS患者・家族会HP」をご覧ください!
info@autoinflammatory-family.org
newpage1.htmlへのリンク
traps.htmlへのリンク
about PFAPA.htmlへのリンク